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05/01/2006

バロン西

城山三郎の「硫黄島に死す」という小説を随分前に読んだことがある。バロン西こと西竹一の物語である。西竹一(1902年7月12日 〜1945年3月22日)は外務大臣などを歴任した旧薩摩藩士、西徳二郎男爵の三男であり、1932年のロサンゼルスオリンピックでは、愛馬ウラヌス号を駆って、大障害飛越競技において金メダルを獲得し、当時の日本の英雄であった。

五尺八寸(約174cm)の長身。黒い生き生きした眼、大きな耳、陽灼けした三十一歳の顔は、独身と見まがわれた。最も貴族的なスポーツである馬術の選手。六万円の私費を残さず使い切る気っぷのよさ。そして貴族、それも親しみやすい男爵。(城山三郎 硫黄島に死す 新潮文庫 21頁より引用)

競技前から、「男爵(バロン)西」は社交界でもてはやされ、ハリウッドの女優たちにひっぱりだこになった。「排日」の風は男爵に関する限りそよとも吹かず、新橋・柳橋でもてるのと少しも変わりはなかった。(城山三郎 硫黄島に死す 新潮文庫 21頁より引用)

その後、職業軍人であった彼は戦車連隊長として1944年に硫黄島へ赴任し、1945年3月22日、アメリカ軍との激しい戦闘の最中、帰らぬ人となった。私は以前より波瀾万丈な彼の人生に光をあてる映画の製作を心より願っていたが、それがついに実現した。

クリント・イーストウッド(75)の製作、監督による映画「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」の記者会見が4月28日行われた。この映画は硫黄島の戦闘を日米双方の視点から描いており、2部作となっている。アメリカ軍の攻撃から最後まで硫黄島を死守し、遂には玉砕した栗林中将に渡辺謙(46)、西中佐に伊原剛志(42)が扮している。

第二次世界大戦が終ってから60年が過ぎた。最大の激戦となった硫黄島での戦闘を、日米両国民が極めて冷静に、映画を通して見つめ直すことはとても意義がある。


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