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2013年11月17日 (日)

大和よ安らかに

今春、宇宙戦艦ヤマト2199(以下2199と略す)の放送が地上波でオンエアされた。1974年の宇宙戦艦ヤマト(以下ヤマトと略す)の初回放映から40年近い歳月が流れたことになる。感慨深い。ヤマトの声優陣も沖田十三役の納谷悟朗氏、古代進役の富山敬氏、真田志郎役の青野武氏、古代守役の広川太一郎氏、ドメル将軍役の小林修氏と、多くの方々が故人となられた。

ヤマト放送当時、鹿児島の民放は2局で、ヤマトの裏番組はTBS系列局が「猿の軍団」を流しており、他方がクロスネットとして日テレ系とフジテレビ系の番組を中継し、そのためヤマトもこちらの局が番組を受け持っていた。同作品は読売テレビが制作したが、2199は毎日放送が担当することになった。不思議な因縁である。音楽はヤマトの作曲者、故宮川泰氏のご子息、宮川彬良氏が受け継いだ。

40年近い両作品の隔たりは、技術の進化をまざまざと見せつけられた。20インチ程の4:3のアナログテレビに替わって、16:9のワイドテレビが展開するハイビジョン映像は、圧倒的な情報量の優位性によって、観る者を興奮の渦へと押し流す。CGが醸し出すクオリティは、40年前には不可能だった。テクノロジーの猛烈な進化にただただ敬服するしかない。

2199において、沖田十三提督率いる第一艦隊は、冥王星沖合において「メ号作戦」を開始した。第一の目的はイスカンダル星よりもたらされる「波動コア」の技術事項が記録されたカプセルを受領することであり、火星で待機していた古代進と島大介がその任に当たった。第一艦隊は古代守艦長の駆逐艦「ゆきかぜ」を帯同し、彼等の任がカプセル受領の妨害を企てるガミラス艦隊への陽動を意図していたことは極秘扱いとされた。

劇中「ゆきかぜ」は対ガミラスとの戦闘で大破し、土星の衛星エンケラドゥス(ヤマトの設定ではタイタン)でその残骸が発見される。この「ゆきかぜ」こそは太平洋戦争末期、旧日本海軍第二艦隊の戦艦大和による「天一号作戦」に参加した第二水雷戦隊(旗艦矢矧)所属の駆逐艦「雪風」に由来する名称である。旧日本海軍の雪風は「奇跡の駆逐艦」と呼ばれ、大戦の初期から坊ノ岬沖海戦まで一貫して武勲を挙げ続け、戦後は賠償艦として中華民国に引き渡され、1969年に廃艦、1970年の解体によって艦歴を全うした。

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戦艦大和殉難鎮魂之碑(1)

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戦艦大和殉難鎮魂之碑(2)

私はかねてより枕崎の火之神公園にある平和祈念展望台を訪れようと願っていた。ここには「戦艦大和殉難鎮魂之碑」があり、戦艦大和を始めとする第二艦隊が沖縄決戦へと向かう途中、鹿児島県の坊ノ岬沖でアメリカ軍と応戦し、大和、矢矧、磯風、濱風、霞、朝霜が撃沈、4000名近くの尊い命が海中に散った。枕崎から大和終焉の地点まで西南西に約200キロであり、本土で一番近い場所であることから、平成7年に鎮魂の碑が建立された。

21世紀を生きる我々にとって、太平洋戦争はかなり遠い過去の出来事である。しかし70年前にごく普通の日本人が、国家の命令に従い、戦争に駆り立てられ、戦地に赴き、正義の名の下、戦闘行為の一翼を担った。将来に限りない夢を抱いていた若い学生、愛しい妻や子供との満ち足りた生活を送っていた父親、そして尊敬すべき父や母を養っていた息子達。彼等はそれぞれの大切な事情を諦め、やむなく投げ出して戦地へ向かった。全てはお国のために。無念だったと思う。

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第二艦隊沈没地点の方を向いている。

誰だって戦争で死にたくないし、戦場で敵兵を殺したくはない。けれど己が生き延びるためには避けられない手段だ。故郷での平穏な生活をかなぐり捨て、妻や子供のため、父や母のため、日本のために、銃を手に戦場を目指した多くのごく普通の、善良な日本人が、帰らぬ人となってしまった。

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この穏やかな海の彼方に戦場があった。

私は70年前に日本という国家が国民に「国のために命を差し出してくれ」と命じた事実を決して忘れてはならないと考える。近親者はもちろんのこと、その他の多くの見知らぬ日本人のために戦場に散った人々のことを忘れてはならないと考える。私の出来ることと言えば、同じ鹿児島の枕崎へ足を運び、感謝と哀悼の意を捧げることしかできないけれど、今も坊ノ岬沖の海中深く眠っておられる方々のことを忘れることはない。

坊ノ岬沖海戦(Wikipedia)

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