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2014年4月

2014年4月25日 (金)

スティッキー・フィンガーズ

ね、リュウなんとか言ってよ、あなたこれローリングストーンズの一番新しいやつなのよ、まだ聞いたことないんでしょ?スティッキーフィンガーズっていうんだから。」下線部は村上龍/限りなく透明に近いブルー/講談社文庫35頁からの引用。

本作の優れている点は、なによりも「僕」が物事を常に客観視する中で、感情移入を排したフラットな表現でセックスや暴力を描ききった部分であると多くの作家・評論家が本作の解説で評価することが多い。衝撃的な内容を題材として捉えていながら、その文章自体は異常なまでに平易であり「清潔」である。下線部はWikipedia「限りなく透明に近いブルー」からの引用。

この村上龍の小説が世の中に登場したとき、私は思春期真っ盛りだった。そんな少年に「感情移入を排した」なんて高尚な評が理解できる余地は残っていなかった。作品を興味本位で読む以外に何があったというのだろう。しかしそこからローリング・ストーンズへ食指が動くことはなかった。思慮の浅い偏見の渦中に居たようだ。

30を過ぎ、本格的にジャズを聴くようになった。ジャズは全く不案内だったが、一つの妙案が頭に浮かんだ。アメリカのグラミー賞に輝いた名盤から先ず聴くことにした。安直な方法だったが、見事に功を奏した。マッコイ・タイナーやジョー・ヘンダーソン、パット・メセニー、ウイントン・マルサリス等を贔屓にした。特にマッコイ・タイナーの"The Turning Point"(1992) は私のようなクラシックファンをも魅了した。

ある日、FMで耳にしたストーンズの「ビッチ」に衝撃を受けた。無論以前にも耳にしたことはあったが、全く別物のように思えた。ジャズを聴くことによって、私の許容範囲が広がったのだろう。録音にはミック・ジャガー、キース・リチャーズ、チャーリー・ワッツ、ビル・ワイマン、そして急逝したブライアン・ジョーンズの後任としてミック・テイラーが参加。

更にこのメンバーにボビー・キーズ(sax)、ジム・プライス( trumpet)、ジミー・ミラー(percussion)が加わることによって、多様性のある豊かな音色が奏でられた。こうなるとロックとかソウルとかジャズとか、あるいはクラシックとかの区分けが煩わしくなってしまう。少なくとも私の感覚では。

この「ビッチ」は今年2〜3月に8年ぶりに彼等が来日した際に、ファンの要望に応えてコンサートで披露された。相変わらず人気のある曲だ。ファンの耳は肥えているな、と率直に私は感じた。布袋寅泰がゲストとして招かれるなど話題は多かったが、ひとつ気になることがある。来日公演後にミック・ジャガーの恋人のローレン・スコットさんが自殺を図ったことだ。

5年前にこのブログで、二人の親密さを取り上げたのだが、ミックはブラジル人のルチアーナさんとの間にできた息子のルーカス君を連れて、長身のスコットさんと仲睦まじくデートしているのが目撃された。スコットさんを失ったミックの落胆ぶりはかなり酷いようだ。彼の公式サイトには、「恋人であり、ベストフレンドである彼女が、かくも悲劇的な結末を選んだのか、未だに理解できません。」とのコメントを寄せている。彼を温かく見守ることにしよう。

MICKJAGGER.COM


2014年4月 6日 (日)

ロードムービー

日本語には和製英語というものがある。ややこしいのは和製英語であるにもかかわらず、それが日常で定着してしまい、私も含めて、日本人が普通に使っている点だ。野球用語の「デッドボール」とか「ランニングホームラン」、あるいは「フリーダイヤル」とか「バックミラー」の類いだ。それは簡単な単語を並べた、ベタな使い方として共通している。私はOld Boy(=OB)は完全な和製英語だと思っていた。同じように、ロードムービー(Road Movie)も和製英語だと思っていた。

ロードムービー(英語でもRoad Movie)とは、映画の主人公が旅をすること、そして道中で出会う人々との交流が、彼のその後の人生に大きな影響を与える、という点が共通しているだろう。ウィキペディアを眺めると、その範疇にはフェリーニの「道」「イージーライダー」「真夜中のカウボーイ」「スケアクロウ」「パリ、テキサス」「レインマン」などがある。邦画だと山田洋次監督の「寅さんシリーズ」「家族」「幸福の黄色いハンカチ」等がある。鹿児島にかかわり合いのある作品だと同じく山田監督の「十五才 学校IV」、そして是枝裕和監督の「奇跡」などもロードムービーに属する。

私はクリント・イーストウッドが大好きだ。中学生になると、父兄が同伴しなくても映画館に行くことが出来るようになり、当時流行のブルース・リーのドラゴンシリーズを観るために天文館の映画館に足を運んだ。二本立ての映画のもう一方の作品がC.イーストウッドの「ダーティ・ハリー2/(1973)」だった。

彼のファンになると、必然的に彼の出演作品に興味を惹かれる。「ダーティ・ハリー2」に続いて「サンダーボルト(原題:Thunderbolt&Lightfoot)」が翌年(1974)封ぎられた。この映画は「ダーティ・ハリー2」で脚本を担当したマイケル・チミノの初監督作品であり、70年代のアメリカ映画の特徴が色濃く表現されている。画面一杯に疾走する馬鹿でかいアメ車、コーヒーショップの情景と、カウンター越しに客のオーダーを取るウエイトレスのかわい娘ちゃん、ド派手な拳銃の打ち合いなど、いずれもこの時代の「らしさ」を演出する。

「サンダーボルト」もロードムービーの「亜種」あるいは「派生系」として捉えても構わないだろう。映画の発端から幕切れまでずっと車が絡んでおり、この映画の個性ともなっているからだ。主演のC.イーストウッド(サンダーボルト)の他に、「キングコング」「トロン」「トロンレガシー」「タッカー」等に出演したジェフ・ブリッジス(ライトフット)、「シャレード」「エアポートシリーズ」「アイガーサンクション」等、そして邦画の「人間の証明」「復活の日」に出演したジョージ・ケネディ(レッド)が共演している。G・ケネディのレッドの役回りはオードリー・ヘップバーン主演のシャレードの「スコビー」のそれとほとんど同じなのが妙に可笑しい。

かつては稀代の銀行強盗として名を馳せ、現在は世を忍んで牧師として露命を繋いでいるサンダーボルトだったが、強盗仲間のレッドに金を持ち逃げしたと勘違いされ、命を狙われる。レッドに追われる途中、偶然にライトフットと出会い、歳の差はあるものの、馬が合い、行動を共にし、かつて襲った銀行の現金強奪に再び挑むことになった。以上が凡その筋書きだが、この映画の面白いのは、70年代の全くステレオタイプなアメリカ映画の特色が死ぬほど恋しいところにある。

銀行強盗成功の暁に高価なキャデラックを手に入れ、颯爽とハイウェイをかっ飛ばす情景を頭に描く映画の主人公の様なんて、恐らく今の若いアメリカ人なら失笑するに違いない。そんな70年代の価値観が今となっては懐かしい。

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