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2014年8月

2014年8月22日 (金)

在りし日の潮見橋

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2005年10月撮影

鹿児島市南部の谷山地区、和田川にかかる潮見橋は1890(明治23)年に造られた。長さが32メートル、幅は4メートルあり、市内でただ一つの3連アーチの石橋である。しかしながら完成から100年以上経っており、橋の老朽化は避けられず、「浸水などから市民の生命や財産を守る責務があり、架け替えが必要」と、鹿児島市は橋の撤去と架け替えを予定しており、年内に着工するらしい。

私も現地に足を運んでみた。率直な感想であるが、宅地化されたこの一画にぽつりと「明治」の建造物が存在するといったおもむきである。恐らく竣工当時、周りは田園風景が広がるのどかな佇まいであったに違いない。この時代のことだから現在のように自動車が頻繁に往来することなど想定されておらず、また和田川の環境変化によって、本来は棲息するはずのない人為的に放たれた種類の魚が目に留まるといったことなど、その当時の人々が予想したであろうか。

このまま現状保存を続けるにしても未来永劫にわたってこの橋を存在せしめるのは厳しいだろう。状況が許す限りこの橋を竣工当時の環境に近い田園風景が良く似合う場所に移設してもらいたいと考えるのだが、それではあまりにも懐古趣味が過ぎるだろうか?

※その後、潮見橋は架け替えられることになり、2008年の2月6日に新しい橋が竣工した。

潮見橋のその後(2)
潮見橋のその後

2014年8月 2日 (土)

照葉樹の森PART2(発見・鹿児島!)

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足下にはヤブツバキの花が。

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自然石展望台より稲尾岳方向を望む。覆い被さるように続く照葉樹林帯を進むので、すっきりとした展望はここでしか味わえない。

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モミ、アカガシの巨木群 
このあたりは台風の常襲地帯である。立枯れた喬木が、この本土最南端の地の気候のきびしさを物語る。

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一時間ほどで三角点に到着。周囲は潅木に囲まれており、360°のパノラマというわけにはいかない。

清流の水源を過ぎるとやや傾斜がきつくなる。亜高木層にさしかかったとみえて、足下にヤブツバキの花弁が散乱しているのが目につく。それにしても常緑の世界に迷い込んだような感触は新鮮だ。とりあえず自然石展望台にて小休止。春霞のため、視界はやや難があるが、それでもこの西口コースは山歩きの楽しみがコンパクトに集約されているので、初めての者でもその醍醐味を充分に堪能できる。道標は最小限度に押さえられ、景観に配慮されている。10分ほど休憩したのち、再び登攀を始める。三角点を過ぎたあたりから更にアップダウンが続く。時間的に余裕があるので、無理をせず、しばらく美しい春の花々の饗宴を楽しむことにした。

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ヤブツバキ
ツバキ科の常緑高木。照葉樹葉林を代表する樹種のひとつ。野生種であるヤブツバキは高さが15mにもなるものがある。

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ミツバツツジ 
ツツジ科の落葉低木。花は紅紫色で、花びらはロウト形で五つ。枝先に三枚葉が付く。

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ミヤマシキミ 
ミカン科の常緑低木。本州以西に分布。花は白色で花びらは4枚。10月に美しい紅色の実をつける。尚、実には毒がある。

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モミノキ
マツ科の常緑高木。その凛然としたすがたから、クリスマスツリーに用いられることでも有名。日本では秋田県から屋久島にかけて自生する。

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立ち枯れた巨木
かたちあるもの全て、森羅万象である。この木さえも存在する必然性がある。

モミ、アカガシの巨木群 
薄暗い山道を更に進むと、やがて太い幹まわりの巨木が徐々に現われてきた。永遠の生命力を誇示するかのごとく、悠然と屹立している様は、周囲の静寂とあいまって、神々しくもあり、しばらく何もせず路傍にたたずんでみた。下界においては、時に凄惨なドラマが絶えることなく繰り返される。しかし、ここにあってはただ粛々と時だけが刻み続けられる。そこにはあたかも地上の事象を、宇宙の営みの僅かな一片として捉えるかのような壮大さがある。

照葉樹林について 
東アジアに多く見られる常緑広葉樹林を特に指して呼ぶ。その範囲はヒマラヤから中国南部を経て、台湾、更には日本へと広がりをみせる。湿度の高い暖温帯に分布する照葉樹は非常に寒さに弱く、年平均気温が12度を下回るところでは生きて行けない。それ故、寒さに対抗するため、葉は小形で厚く、表面が陽に当たって光るところからその名がついた。高木層にはカシ、シイ、タブ、クス、モミなど、亜高木層にはモッコク、ヤマモモ、ヤブツバキ、そしてサザンカ、サカキ、ヤブニッケイなどが連なるように分布する。

照葉樹文化 
東アジアの照葉樹林帯と、そこに定住する民族が共有する様々な文化的特色を意味する。大陸伝来の文化のうち、かなりのものが照葉樹文化に属するとされている。例えば、水田稲作農業、お茶の栽培、うるしなどがそれにあたる。

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ゴールの稲尾神社 

モミ、アカガシの巨木群を通り抜けると、ゴールは近い。すでに三角点を通過しているので稲尾神社は山頂というわけではないが、西口コースの終点となっている。写真を撮りながらの、ゆっくりとしたトレッキングであったが、それでもお昼前にはたどり着くことができた。このあと昼食をはさんで30分ほど休憩をとり、帰路につく。ビジターセンターに戻って、今日一日の復習をするのも良いだろう。

2001年4月撮影

参考資料
森林の百科事典 (編)太田猛彦、北村昌美、熊崎実、鈴木和夫、須藤彰司、只木良也、藤森隆郎 丸善(1996) 
ヤマケイポケットガイド13 野山の樹木  姉崎一馬 山と渓谷社(2000)

アクセス
鹿児島市内からは桜島フェリーか垂水フェリーを利用して国道269を南下し、根占(現南大隅町)で国道448に進路変更。田代町(現錦江町)内に入ると案内板があらわれるので、それに従ってすすむ。鹿屋方面からは国道68を南下し、同じく田代町(現錦江町)内に入った後は案内板に沿ってすすむ。
照葉樹の森公式サイト

照葉樹の森PART1(発見・鹿児島!)

照葉樹の森PART1(発見・鹿児島!)

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稲尾岳登山西口コースマップ

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照葉樹の森入口ゲート 
稲尾岳ビジターセンターに通じる林道はアスファルト舗装を施していない。日光による路面の照返しが生態系に悪影響を及ぼすことへの配慮からである。

「照葉樹の森」は鹿児島県肝属郡田代町(現錦江町)に2000年4月28日オープン。大隅半島南端の稲尾岳、木場岳を中心としたこの一帯は宮崎県の綾の森と並んで、西日本有数の照葉樹林帯を形成している。1,400haにも及ぶ森林にはタブ、カシ、イス、モミなどの照葉樹が原生林として繁茂し、有史以前より現在に至っている。

この森は1.400haもの広大な区域が親照葉樹林ゾーンと保全学術ゾーンに分かれている。保全学術利用ゾーンには滝巡りコース、西口コース、北口コースの3つがあり、今回はアップダウンに富み、変化のある景観が楽しめる西口コースを選んでみた。パンフレットによれば、このコースは距離にして3.3km、所要時間は150分を要するとされている。朝9時前後に出発してもお昼前には終点の稲尾神社まで到着することが可能である。

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稲尾岳ビジターセンター  ロッジ風の瀟洒な建物である。

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ビジターセンターの内部の様子

昨年の暮れにビジターセンターを一度訪ねてみた。下界の景色に目を奪われながら、ふと気付いたことがあった。電線が見えないのである。センターの方に、地中に埋没させているのか、尋ねてみた。環境保全のため太陽電池と風力発電を利用しているとのことである。ちなみにここの電話は携帯電話用の番号で始まっていることを思い出した。最近、市街地でも屋根にソーラーパネルを敷いている住宅を見かけることが増えてきたが、まだまだコスト高で一般的ではない。それに比べて、ここは山頂の山小屋と同程度の環境なので、エコエネルギーの方がどちらかというと現実的なのかもしれない。それでも、ここまで徹底していると、真剣さが伝わってきて妙に嬉しいものである。館内では森の生命の生態系を写真や絵を使って丁寧にパネルにて紹介している。勿論タイムリーな情報は、ここでいくらでも得られる。登頂前の予習を強くお勧めする。予備知識が森の探索の楽しみを何倍にもしてくれるはずである。

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9時過ぎにビジターセンターを出発し、清流に沿って登りはじめると、早速この光景に遭遇することとなる。かさばるように続く木立、岩を覆い尽くさんとする苔のみどりが、しばらく続く。

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アセビ(馬酔木)
ツツジ科の常緑低木。葉に毒素があり、馬が食べると麻痺するというので、この名がついた。

馬酔木は万葉集に度々登場する植物のひとつである。「三諸は人の守る山、本辺は馬酔木花咲き、末辺は椿花咲く、うらぐはし山そ子守る山(作者不明)」意味は、奈良の三輪山は人々が大切にする山で、麓では馬酔木の花が咲き、山の上では椿が咲く麗しい山で、子守りをするような(そういった大事な)山です、となる。 八世紀後半に成立したといわれる、この歌集のよみ人の清新な心情に共感できるのは、まさに至福という他ない。

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岩根から水が滲出しているのがわかる。清流の水源である。

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誘導ナンバーを目印に登ることができる。

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初心者への配慮が伝わってくる。

照葉樹の森PART2(発見・鹿児島!)


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