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05/23/2019

空が分裂する

先日、NHKラジオ「すっぴん!」を車中で聴いていた。司会は藤井彩子アナと川島明だったと思う。ゲストに詩人で小説家の最果タヒを招き、この女性作家との会話が続いた。ただ、その内容を私ははっきりと覚えておらず、けれど、この作家に興味を惹かれたのは確かで、amazonに「空が分裂する」を注文した。この作品を選んだのに明確な根拠はなく、単に面白そうだったのがその理由だった。

とても楽しめた。私はこれまで、詩をあまり読んだことはなく、従って数多の大家の作品を論評する能力も資格もないのだが、彼女の作品は大いにイマジネーションを膨らませることができた。作品中、「生」とか「死」とかの単語がかなり登場するのだが、それらを俯瞰しつつ、大宇宙のなかの微かな瞬きのように捉えているのが愉快だった。人間が作り出した誇張されすぎた観念ではなく、それらを微小な生理現象の如く、一片の変化として語られているようだった。まあ、私の偏狭な感想なので、軽く受け流してほしい。

彼女のプロフィールを知るために、ネットを検索するのも一つの手段だが、作品のあとがきの中で、この作家の考えを垣間みることができたので、紹介する。ネット社会は便利であるようだが、とても厄介だ。自分の許容能力の範囲を遥かに逸脱して、処理しきれない知識を未消化のまま、抱え込んでいる自分に嫌気がさす。ガス抜きをするうえで、この本は良かった。

常に思っていたことがある。わかりあうことは、気持ちが悪い。そんなこと。常に、本当に常に、思っていた。青春時代にみんなで、ナルシストとか、イタイとか、不思議ちゃんとか、中二病とか、言い合って、個性的にならないよう毎日牽制しあっている、そういうのを見て、ああ、こうやって、平凡な人間は量産されていくのか考えたりもしていた。(下線部は「空が分裂する」最果タヒ 新潮文庫 148頁からの引用。)

誰にもわからない、わかってもらえない感情が、人の存在に唯一の意味をもたらしている。そして、だからこそ感情の結晶である作品が「わからない」と言われることは、ある種当然のことだった。私は作品において、「わからないけど」言われること、「けど」と最後に付け加えられることを大切にしていた。(下線部は「空が分裂する」最果タヒ 新潮文庫 149頁からの引用。)

 

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