08/31/2018

人工光合成

東洋経済ONLINEに興味深い記事が載っていた。日本初の夢技術「人工光合成」はここまで来た、という記事で、最近話題に上る人工光合成について紹介している。人工光合成とは、文字通り自然界でおこる光合成を人工的に発生させるもので、太陽光と水、二酸化炭素を用い、水素や有機化合物などを作り出す画期的なテクノロジーだ。

光合成のしくみ 緑色植物が吸収した水は、葉緑体のなかで光エネルギーを使って分解され、水素と酸素になる。水素は二酸化炭素とともにブドウ糖をつくるのに使われるが、酸素は副産物として体外に放出される。こうして、光合成によってブドウ糖180g(1モル)が合成されるさいには、二酸化炭素264gが吸収され、酸素192gが放出される。(下線部は実教出版株式会社 井口洋夫他著 高校理科1改訂版 240頁からの引用。)

尚、1モル(mol)は、6.02×10²³個を表し、1モルあたりの粒子の総数6.02×10²³mol⁻¹はアボガドロ定数と呼ぶ。光合成を分子式で表すと、6CO₂+12H₂O→C₆H₁₂O₆+6O₂+6H₂Oとなる。ブドウ糖は C₆H₁₂O₆なので、分子量は12×6+1×12+16×6=180gとなる。同じように二酸化炭素は264g、酸素は192gとなる。

少し話が長くなったが、太陽光を使って水を酸素と水素に分解する明反応と、水素と二酸化炭素からデンプンやブドウ糖を作る暗反応を利用して、光触媒の開発やそれを応用したエタノールなどの有機化合物の合成が期待されるそうだ。これからは化石燃料に依存しない夢の技術が実現する。しかもこの分野で日本は世界をリードする。この記事を読んでるだけで本当にワクワクしてくる。今後を楽しみにしよう。

08/26/2018

栄光と挫折

野茂英雄がアメリカへ渡り、メジャーリーグに挑戦した1995年のことは、今でも鮮明に覚えている。村上雅則以来のメジャーリーガー登場だったので、日本中が沸いた。BSの試合を観ていると、実況放送中、投球制限のことが話題に上った。MLBでは投手の投球数を厳格に管理し、一試合に100球を上限として、それを超えたら途中交代させるシステムになっている。投手の肩は消耗品であるとの観点から、極めて合理的な判断だ。

プロ野球の名球会の投手のリストによると、甲子園優勝投手で、投手として名球会入りしたのは現在のところ平松だけであるようだ。下線部はWikipedia平松政次からの引用。しかも彼は現役末期は怪我に泣き「ガラスのエース」と呼ばれたらしい。下線部はWikipedia平松政次からの引用。

今年の全国高等学校野球選手権大会 は100回目を迎える記念大会となった。甲子園球場は高校野球の聖地と呼ばれ、その舞台はまさに神格化されつつある。選手は基本的に頭を丸刈りにし、試合に臨む。みそぎのようでもある。私も幼い頃から高校野球を観ているが、試合の雰囲気は昔と全然変わらない。他のスポーツが合理主義を受け入れつつあるなか、ここでは異次元の世界が広がる。

そう、甲子園を目指すということは、聖域を目指すに等しい。聖なる場所だから、それに対する批判は全て「悪」となる。この不変性は選手も、学校も、主催者も、スポンサーも、社会すらも侵すことはできない。甲子園でのプレイは神事に等しい。個よりもチームの勝利が最優先されるから、投手は無理を押して連投し、疲れ果ててしまう。選手生命を絶たれた個々の選手の補償は無い。

恐らく今後もこの傾向は変わらないだろう。そんな時、私にできることは、名球会の事例を示すしかないのだろうか。断っておくが、名球会入りした投手の例示は絶対的なものではない。端的な事実を示したに過ぎない。この尺度に当てはまらない名投手はたくさんいる。甲子園で優勝しないまでも、本人には若き日の勲章になる。

甲子園の高校野球選手権大会の位置づけは将来も変わらないだろう。100回を数えて、高校野球はいよいよ不可侵のスポーツとなる。スポンサーは新聞社なので、大会の不合理を深く追求することはしないかも。大会関係者も色々なしがらみがある。大会運営が大事であり、選手の将来まで気遣う余裕はない。一般人も春夏の短期間の出来事をいつまでも記憶に残さない。

子供の将来を真剣に考えるのは第一に本人、そしてそれを見守る家族に他ならない。球児の皆さん、大会に関わるのは無分別な老人ばかりです。若者の将来のことを気に留めはしません。日本は昔からずっとこうです。自分の将来は自ら真摯に見据えましょう。柔軟に考え、幅広い選択肢を用意しよう。余計なお世話かもしれませんが。

08/25/2018

電線ネット

盆の帰省ラッシュも終った。高校野球の100回大会も終った。暫く暑さは続くだろうが、夏休みが終ると、世の中が日常に戻るので、少しホッとする。

そんな週末に暇つぶしのネットサーフィンに興じたいところだが、ブラウザーのレスポンスが鈍い。自宅に光回線を引いて大部経つが、段々反応が悪くなった。殊に夜間と週末は酷く、夜間に動画を観たくても、直に停止してしまう。

電線ネットをご存知だろうか?正確には電力線搬送通信(PLC)と呼ぶらしく、電力線を通信回線として利用するノウハウで、簡便にブロードバンドを実現できるそうだ。ただ漏洩電波が無線など、既存のインフラに悪影響を及ぼすというマイナス面もあるようだし、余り普及していない。

問題なのは通信インフラがぼぼNTTグループに独占されている現状では、光ファイバー網の高速化が速やかに改善されないと思われ、打開策として、電力会社等からの参入により新たな競争原理を模索できないかなと考えてみた。素人なりに。

スマホの場合、ソフトバンクがiPhone導入に際して、販売面でアップルに大幅な譲歩を許したため、収益を挽回するため、通信料の高額な負担をユーザーに求めるかたちが先例になり、後続のauやドコモもそれに倣った。これでは通信料の高止まりが解消されるはずがない。

IT革命が叫ばれて久しい。電気、水道、ガス等の基本インフラと並んで、通信インフラの自由度は今後も改善しなければならない。e-commerceを支える大事な柱でもあるし。この分野に全方位的な競争原理を導入して欲しい。

官房長官の菅さん、人気挽回のラストチャンスですよ。


08/10/2018

再考、サマータイム導入の是非

私は7年前に、「サマータイム導入の是非」という内容をブログに掲載したことがある。今もその気持ちは変わらない。安倍さん、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長に急かされたんですって?お気の毒ですね。彼は言い出したら聞かないから。以下がその時の内容だ。


「森本毅郎のスタンバイ!」を聴いていたら、東大名誉教授の月尾嘉男さんがサマータイ ムについて興味深い話をされていた。日本睡眠学会の声明を紹介し、目的である節電効果は非情に小さく、かえって睡眠不足によって健康に悪影響があるとの懸念を示されてい た。

もともとサマータイムを実施している国の多くは高緯度にあり、結果としてそれが先進国に集中しているとのこと。例えばスウェーデンのストックホルムは北緯59度にあり、夏至の日の出が2時31分、日の入りが21時9分で、冬至の日の出が8時43分、日の入 りが14時49分と、極端な隔たりがあるため実施の効果は大きい。ところが東京は、たかだか北緯35度で、夏至の日の出が4時25分、日の入りが19時、冬至の日の出が6時47分、日の入りが16時31分であまり差異がなく、その導入の効果が甚だ疑わしいよ うだ。

節電効果については、先月、都知事の肝いりで、東京都庁が出勤時間を約1時間早めたの だが、電気の使用量のピーク時の時間帯が午後2時から4時の間にあるので、勤務時間を 少しずらすだけでは総使用量に変化はない。むしろ時間を後ろに移動することによってピ ーク時間を避けた方が賢明であるようだ。行政サービスという観点から言えば、例えば都庁の職員の帰宅を遅くした方が、民間にとってはサービスを享受でき、むしろ都合が良いと私も思う。

石原慎太郎知事は以前カジノ構想をぶち上げ、お台場に遊戯施設を建設する考えを披露し たのだが、法的な制約が大きいため、結局これを諦めた。ところが東京電力の原発問題が露呈すると、今度は自動販売機や同じ遊戯施設であるパチンコ店をやり玉にあげ、烈火の ごとく悪者に仕立てる暴挙に出た。この人の発想は実に場当たり的というか、論理に一貫性がない。思いついたことを無理に通そうとする野蛮性がある。

サマータイムの導入は、先進国に横並びしたいという阿呆な政治家のパフォーマンスに過ぎない。この哀れな男の老いの繰り言のような妄想に、沈黙をするしかない東京都民が気の毒でならない。

2011年7月2日

08/03/2018

ヨーロッパも暑い!

ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画「ベニスに死す」の中で、主人公のアッシェンバッハが滞在中のベニスを襲ったシロッコに堪え兼ねて、ドイツ(オーストリア?)に帰国しようとする場面がある。シロッコ(sirocco)とは夏にアフリカからイタリアに吹き込む南風で、地中海を越えてくるため高温多湿で、緯度の高い地域の人には相当不快なようだ。

今年の夏はヨーロッパも記録的な熱波で、イギリスの”BBC NEWS"はスペインやポルトガルでは最高温度の記録が更新されるかもと警告している。両国では気温が47℃にまで上昇する可能性がある。またイングランドの南部では33℃まで達するらしい。イングランド南部でも北緯50度位はあり、北海道の本土最北端の宗谷岬の45度より更に北にあるのだから驚きである。

記事に説明があるように、ヨーロッパの最高温度は1977年7月にギリシャで記録した48℃で、スペインで47.3℃、ポルトガルで47.4℃、イングランドで38.5℃を過去に記録している。ちなみに、最近は北欧のノルウェーでも夏に30℃を超える日があると旅行者から聞いたことがある。

Europe's heat record could be broken in Spain and Portugal(BBC NEWS)

08/02/2018

4K有機ELテレビ

過日、鹿児島県内の某家電量販店にて4Kテレビの映像を眺めていた。SONYのBRAVIA有機ELテレビだ。息をのむ美しさだった。精彩画像の素晴らしさを目前にして、興奮を抑えきれなかった。65型と55型の両方を見比べたが、65型の鮮やかさが勝っていた。

ところで、人間の裸眼による画像識別の限界は色々と議論があるようだが、4Kは3,840×2,160で約830万画素であり、それに比べて人間の肉眼の場合、テレビのような客体を見つめる時の解像度は700万画素と言われているので、4Kで十分だとする説が有力だ。

そうなると今後はコスト競争、付加価値競争など、それぞれのベクトルで各社の競争が激化すると思う。デジタルカメラの場合を例にとると分かり易い。スマホのカメラの解像度が一眼レフカメラと遜色がなくなったため、大手カメラメーカーがより高性能で、軽量なミラーレス一眼レフカメラの開発を急いでいるが如きか。ネットとの親和性の追求も見逃してはならない。GAFAがこの好機を見逃すはずがない。

今年の12月より衛星放送で本格的な4K、8K放送が始まる。そうはいっても、日常観ている2K画像だってまだまだ素晴らしいし、買換需要を見込んで、価格競争で一般消費者を惹き付ける必要があると考える。ソフトの蓄積が十分でないのに、直ちに4Kに買い替えることを一般人はやらない。


07/30/2018

チャラ男VS.チャラ子

「西郷どん」を観た。小栗旬の坂本龍馬には参った。「これって、チャラ男じゃん!」江口洋介の龍馬も笑えたけれど、今回は強烈だった。この感動はルパン三世の役以来だ。

しかし近藤春菜の「虎」の京都弁は勘弁して欲しい。これって突っ込みどころ満載で、京都のおっちゃん、おばちゃんに怒られますよ、マジで。シャレになりません。ねえ、木村祐一さん、杉本彩さん。

07/29/2018

ぶつぶつ独り言

BSジャパンの「WBS」が面白みに欠ける。この番組は気鋭のエコノミストをコメンテーターに迎え、説得力のある経済の解説を売りにしていたのだが、最近、日経グループの記者もコメントに加わり、煩雑になってきた。重複する要素が目立つ。

もう一つ、テレ東の豊島キャスター。彼の取材範囲はイギリスはおろか、ヨーロッパ全体、否、ロシアにまで及ぶんですね。それって、基本無理っぽくないですか?予算が限られてるの?

ネット全盛の時代、視聴者は日経のみを鵜呑みにはしていない。広範な情報を数多のメディアから収集し、理解しようと努める。そもそも「テレ東」の番組構成といい、「日経」といい、日経グループの味付けには癖があり、正直なところ、飽きてきた。

07/18/2018

グスコーブドリの伝記

宮沢賢治が童話「グスコーブドリの伝記」を著した1932年当時、東北は「やませ」と呼ばれる冷害に襲われ、稲の不作が続く苦難の時代だった。物語の中で主人公のブドリは、イーハトーブの深刻な冷害を食い止めるため、カルボナード火山を意図的に爆発させることで、炭酸ガスを大気中に放出させ、その被害を最小限に抑える試みをした。現代人の視点からすると、温室効果ガスの働きをいわば逆手に取った考えで、賢治の先見性が伺える。

今日、稲の品種の改良によって、冷害に強い稲作が行われている。人々のたゆまぬ努力により、日本人は自然の脅威と直に向き合い、克服した。それどころか、東北は日本有数のお米の産地として日本はおろか、海外にも知られるようになった。研究者の不断の努力には頭が下がる。

日本は自然災害が多い。しかもその数と規模たるや尋常ではない。地震に関しては、鴨長明の方丈記の京都を襲った「文治地震」の記述が有名だし、元寇の時に台風が吹いた(戦の趨勢に台風が関与したかどうかは、歴史学者に異論があるのも事実)ということを我々は知識として持っている。

記憶に新しい自然災害だけでも、東日本大震災(2011)、広島市の土砂災害(2014)、御嶽山噴火(2014)、熊本地震(2016)、九州北部豪雨(2017)、大阪北部地震(2018)、そして西日本を中心にしたこの度の集中豪雨災害(2018)など、日本列島は複雑に入り組んだユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレート等の上に漂う脆弱な木造船のようでもあり、開闢以来、自然災害が収まった形跡が全くない。

そんな有史以来連綿と続く惨劇の連鎖に、臆することなく向き合ってきた我々祖先の気丈な精神に敬服するしかない。禍事を嘆いても終ることはないし、未来永劫続く自然災害に挑む気概こそが、勤勉な日本人の国民性を育んできたと私は考える。決して偶然の産物ではない。

日本列島のどこにも安全が完全に保障された場所はない。将来起こることが確実視される南海トラフや相模トラフ起因の大地震についても、日本国民の英知を結集して、被害を最小限に食い止めなければならない。特に首都圏を直下型の大地震が襲えば、日本全体が長期に麻痺してしまうはずだ。日本列島に住み続ける限り、我々はこの運命を甘受し、乗り越えなければならない。

宮沢賢治が「グスコーブドリ」を世に送り出した時代、彼が作品のなかで想定した温室効果ガスの役割は、なんと冷害の撲滅にあったとは。今の地球温暖化の危機は、温室効果ガスが一因になっているなんて皮肉だし、果たして賢治はこれを想定通りと考えただろうか、あるいは想像すらしなかったと嘆いただろうか。


P.S.宮沢賢治の作品は青空文庫で読むことができます。

07/02/2018

崎津集落、世界遺産登録決定。

司馬遼太郎の「街道をゆく(17)島原・天草の諸道」の内容に魅せられ、私は2002年に天草の崎津教会を訪れた。当日は快晴に恵まれ、桜もほころび始めていた。そしてこの時の様子を「発見・鹿児島!」に載せた思い出がある。

「崎津教会は永禄12年(1569)にアルメイダ神父によって崎津の地に創建された。現在の建物は明治18年(1885)に建てられ、昭和9年(1934)にハルブ神父によりゴシック様式のものに改築された。」と記していた。

ユネスコの世界遺産委員会は6月30日、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を世界文化遺産に登録すると発表した。2015年に政府が同委員会に推薦したものの登録に至らず、今回の再挑戦で晴れて努力が結実したわけだ。

「崎津集落」は長崎市の「大浦天主堂」などと並んで潜伏キリシタン関連遺産を構成する一つだ。ここへは長島町の蔵之元港より天草市の牛深港へフェリーで渡り、国道266号、国道389号を経由して行くことができ、鹿児島市からも日帰り可能だ。とてものどかで、教会の尖塔が美しいので是非足を運んで欲しい。


Amakusa


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